自作IoTとAIで始める、現場主導のデータ活用
「勘と経験」をデータで裏付け、次の一手を導き出す
農業の生産現場には、「近年の天候変化に対して、今までのやり方で対処しきれるのか不安がある」「経験や勘だけに頼るのではなく、自分の判断に確かな裏付けが欲しい」「昨年の失敗や成功の理由をデータで振り返り、今年の栽培に活かしたい」といった、日々の判断や試行錯誤にまつわる課題が数多く存在します。ですが、市販のシステムが高価すぎたり、自分の現場に合わない場合、こうした課題は手を付けられないまま置き去りにされてきました。
envedded(エンベデッド)は、低コストの自作IoTと、誰もが使えるAIとの対話を活用して、こうした現場の課題を自分の手で解決していくためのサービスです。安くて思い通りに動く自作IoTで現場の変化を掴み、ときには小さな自動制御を取り入れる。そして現場から得られたデータや自分の気付きを、AIと一緒に整理して読み解いて、「いま何がまずいのか」「次に何を試すべきか」という手掛かりを見つけ、栽培や経営に活かしていく。enveddedは、そういった仕組みを作り上げていくための「道具と方法」です。
農業は、作物・天候・資材など無数の要素が関連し、答えや可能性がひとつではない領域です。だからこそ、自分の現場に合った道具で状況を掴み、データによる仮説や裏付けも活用しながら日々の判断を重ね、少しずつ改善していくことが大きな意味を持ちます。高額な投資を前提とすることなく、自分の知恵と少しの技術で、納得のいく現場を作り上げていく。それが、私たちが提案する「低コストで実現する、現場主導のデータ活用」です。
「現場主導のデータ活用」を支える仕組み
AIとの対話を成立させる、3つの基盤
enveddedの核心は「AIの支援を受けながら、現場データによる判断と改善を自ら回すこと」にあります。そのために、データの取得から活用までを支える3つの基盤を用意しました。
1. データ活用の起点となるIoT基板「Pico Crust Board」
計測・制御・警報機能などを備えた仕組みを、ハンダ付けなしで自作できるIoTデバイス開発基板です。これを現場に設置することで、後でAIと対話するための材料となるデータを収集します。高い拡張性や、異常検知時の再起動機能など、現場で長く使うための工夫を入れています。
2. 現場データとAIをつなぐためのクラウド「envedded Cloud」
IoTデバイスからのデータや、あなたが書く作業メモや気付きメモを集約するクラウドです。データとメモを「AIが読み解きやすい形」に整え、出力するための基盤になります。また、簡単な遠隔制御や、IoTデバイス死活警報などの機能も備えています。
3. IoT・AIを現場で使いこなすためのガイド「envedded DIYガイド」
農業における、実践的なIoT導入とデータ活用について体系的にまとめたガイドです。IoTデバイスの自作・圃場設置・活用の方法に加え、得られたデータをもとにAIと対話し、仮説を立て、試し、改善していく方法を解説しています。
データをAIに与えて、継続的な改善に繋げる
IoTデバイスからのデータや人が書いたメモを集積し、envedded Cloudが出力したデータは、汎用LLM(Gemini・ChatGPT・NotebookLMなど)にとって、現場の状況を読み解くための優れた素材として機能します。
そういったデータを渡したAIと対話し、一緒に現場の改善案などを考えることで、自分の中の感覚的なものを言語化して整理したり、データを踏まえた仮説に基づいて現場での「継続的な改善」に取り組む、といったことがやりやすくなります。
例えば「天候変化に合わせた管理方法の相談」をAIに投げかけ、返ってきた案をもとに、IoTデバイスをカスタマイズし「午前中の温度上昇を踏まえて、換気設定温度を下げる」といった改善を試してみる。そして、その結果を再びデータで捉え、さらなる修正へと繋げていく、というようなことです。
農業現場に、無理のない新しい経営のあり方を
高価な農業システムは、しばしば「大規模化」という選択肢とセットで語られますが、すべての生産者がその道を選べるわけではありません。「出口の見出しづらい現状維持」か「負担も大きい大規模化」か。その二択に悩む現場に対して、私たちはenveddedを通して「いまの規模で無理なく始められる、現場主導のデータ活用に取り組んでみる」という第三の選択肢を提案します。
たとえば、システム導入をすると面積あたりのコストが高くなりがちな小規模な現場でも、enveddedを使えば、少ない初期投資で以下のような「改善の循環」を実現できるようになります。
- 気になることがあればIoTデバイスを導入し、現場の変化をデータとして捉える。(観察)
- 集めたデータをAIと振り返り、今作の状況に合わせて灌水や窓開放などの値を調整する。(判断・試行)
- そういった試行錯誤を繰り返すことで現場をより良くし、また言語化しづらい感覚を再現可能な技術に変えていく。(改善・定着)
いまの現場規模をベースにしながら、データの力で日々の取り組みの精度を上げていく。経験や工夫を最大限に活かし、納得のいく課題解決や改善を自分たちの手で積み重ねていく。そんな「現場主導のデータ活用」と、それがもたらす新しい農業経営の姿を、enveddedは支えていきます。